地域資源計画論研究室は,国内外の農村地域,あるいは都市周辺地域を中心として「地域資源を活用した持続的な発展のあり方」を考究し,理論的,かつ実践的な研究を展開しています。

研究室は,地域のさまざまな資源の適切な評価と,その利用を通じ,都市と農村のバランスのとれた発展を促すことで,地球環境問題解決を図り,学術的なアプローチを通じた解決策を考究しています。また,学問としての地域資源計画学をより深化させるために,対象とする現場に訪れて,現地での体験や調査を基軸とした事例研究を積み重ね,一般性・共通性を探求しており,同時に事例ごとの地域性を尊重しながら,計画案あるいは解決策(処方箋)を提示しています。

地球環境問題は,テレビ,新聞を中心としたメディアでも取り上げられ,様々な情報が溢れていますが,その多くは科学的な真偽は定かではありません。実際に現場に行けば,異なる視点があることに直面し,そして地域に真に解決すべき課題を理解することができます。しかしながら,地球温暖化,気候変動など,未だ科学的な事実がよくわかっていない中で,メディアでは人類を脅かす確定的な事実のように語られています。こうした不確実な情報に惑わされずに,これまで解き明かされてきた頑健な学術的事実に基づき,研究者として我々は真摯に地域の課題に向き合い,地域に真に利する活動を行っていく姿勢を維持していきます。

地球環境学,地域資源計画学を含めて,未だ,多くの学問はわからない,解くべき課題が多々あり,様々な知見を理解できる学問的な広い視野と,巷に溢れる情報を,正しく読み解く力が大切であると考えています。そして,こうした課題を考究することが,当研究室にて学ぶことの最大の面白さの一つです。

令和4年12月現在の構成員の研究対象地域は,国外では,インドネシア,ベトナム,インド,モロッコ,カンボジア,モルディブ,タイ,国内では長崎県の対馬市,愛媛県の西条市,滋賀県の甲賀市,京都市です。それぞれの地域には独自の異なる地域課題があり,型にあてはめられるような研究アプローチはありません。国内外の幅広い多くの地域を対象として構成員がそれぞれのテーマに沿った研究を行っており,文理にとらわれない学際的な内容となっています。研究室ではそれぞれの視点から闊達な議論が展開されており,研究目的を実現するためのアプローチを考究しています。地域の文脈に合致した持続可能な発展の方策・計画を提示することを目指しており,これらの研究は地球環境学堂・学舎の大型プロジェクトと連携しているものもあります。

最後に,当研究室にご興味のある方に,お伝えします。研究室ゼミは休暇期を除き原則的に週に一度開催されます。研究報告及び議論は,国際的な発信を目指して,英語で行います。時には国内外からの研究者を招聘して講演をしてもらうこともあります。とはいえ,英語が苦手であっても構いませんので,研究に情熱を持った学生さんをお待ちしています。研究室ゼミは誰にでもオープンにしておりますので,参加されたい方は事前に気軽にご連絡ください。

地域資源計画論分野

教授 西前 出